子供の将来の職業

2021年6月1日

小さい頃から子供に教育を受けさせていると、将来何にするつもりなのか、ということを聞かれることがあります。芸術などの特殊な職業タイプは別として、こういう質問者がイメージする一つの職業は医者であることがしばしばあります。

僕が大学に就職する前から、医学部というのは親が子供に行かせたい学部の最大候補で、医学部進学を念頭に置いたコース作りなどを、多くの予備校なども宣伝材料として使ってきました。たしかに、社会的ステータスも高く、仕事にも経済的にも困ることの少ない職業だと思います。

逆に、同じ世代の子供のお母さんが、「うちの子は、電車が好きだから、しょうらい電車の運転手になったらいいと思う」といって、特に無理に勉強させるつもりはないことを仄かしているのを聞いたこともあります。(電車の運転手になるにしても、勉強をしておいた方がいいとは思うのですが)

僕自身としては、A(息子です)が、職業として何を選ぶのかということについては、特に具体的なイメージはまったくもっていません。大学の研究者は、自分がそうなので勧めないというのはありますが。ですが、息子の職業についてまったく考えないわけではありません。

僕が考えているのは、何になってほしいかではなく、どういう職業を選べるかということです。

どう違うのかと思われるかもしれませんが、この二つは大きな違いがあります。例えば、先程の「電車の運転手」という職業を考えてみましょう。僕が懸念するのは、電車の運転手という職業が、どういう収入で、どういう労働内容でとかではまったくないのです。それはどうでもよくて、むしろ、20年後、30年後に、電車の運転手という職業がどれくらいあるのかということなのです。

今のように、AIの技術、ITの技術などがどんどんと進んでいく中で、必要とされる人が非常に少なくなる業種は出てくると思います。

ニュースなどで、自動車や電車の自動運転に関する技術テストの話などを見ると、もしかしたら運転に関わる人の数は大きく減っていく可能性は高いと思います。(ここ数年という話ではないです。あくまでもAが仕事を選ぶとき、あるいは転職などを考えるとき、ですから、20年から40年くらい先の話ですが。)

僕のような大学教員だって例外ではありません。今のようなコロナ禍を経験して思ったのですが、少子化だけではなく、リモートで授業ができる可能性がぐっと広がったということは、教師としての大学教員も今よりもグッと少なくなる可能性があります。教師としてのというのは、例えば日本の多くの大学を支えている非常勤講師などです。非常勤講師の存在は今は、大学にとって必要不可欠です。また専任教員を目指す若い研究者にとってもなくてはならない職業です。でも、今後リモートでの技術・ノウハウが蓄積されていくと、そういう職も削減対象になってもおかしくありません。

職業がたんじゅんになくなる、とは言いませんが、少なくとも今の職業の分布とは変化していくでしょう。

そういう中で、どういう仕事が生き残り、Aの選択肢になりうるか、ということはやはり考えてしまうということです。

いずれにせよ、どういう職業につくのか(あるいはつかないのか)ということよりも、どういう状況になってもそこでやっていくことができる思考力をつけさせたいと思っています。


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